■昔、草津のはずれに香草温泉という湯があった。
今は地図に温泉の記号が残っているのみだ。
草津温泉の奥に常布の滝がある。
この滝の見晴台からさらに川を遡る。
いくつか滝を巻き、沢を遡行し、約3時間ぐらい歩くと、
小さな滝のそばに、硫化水素の臭いと、温泉の流れ出る洞窟がある。
ここは湯量も少なく、湯船を作る場所もない。
さらに上流に遡ってゆくと、源泉があり、
岩の下から豊富に湧き出している。
ここの湯はふもとの草津温泉より酸性が強い。
湯に入っていても、体のあちこちがピリピリしみる。
湯船を作るのに使ったスコップも見る見るうちに錆びてゆく。
あの硫黄分の強い草津温泉が、さっぱり感じるくらいだ。